ブロックチェーン技術を保険商品的な用途に使う際に、自前で実装するかわりに既にあるプロジェクトの成果を利用した方が、早く実装でき、バグも(多分)少なくできると思い、まとめました。
- パブリックチェーンで動作するものを調べました。
- プライベートチェーンは、最終的に法定通貨に交換できないと考え、除外しました(Hyperledger関連とか)
- 仮想通貨レンディング/ボローイングプロジェクトまとめ のページが参考になります。
Augur (オーガー)
- Ethereumベース。公式HP。トークンは「REP」。(以前はコインチェックで買えたが、今は取扱停止)
- イーサリアムのスマートコントラクトを応用し未来予測を行うプロジェクト
- 保険やギャンブルなどの未来予測
- 運営者・胴元をなくし、その分のマージンを参加者に還元する
- 事実認定は「レポーター」が行う。正しい報告をすると
REPをレポーティング手数料をもらえ、間違った報告をするとREPが減るレポーティング手数料がもらえない。多数決で決まるREPを積み立てて「不服申し立て」を行う事ができる。 - 2018年7月10日にアプリのVer1.0がGitHubで公開された(Mediumでの発表)。
- 現在のバージョンは
1.4.01.5.1(9/18リリース) - 日本語で情報発信されている方がいらっしゃいます。CRYSTAL BALL BE
Gnosis (グノーシス)
- 分散予測市場用のプラットフォーム。公式HP。Javascript用のSDKもある。
- トークンは「GNO」と「OWL」。GNOは取引所で買える。OWLは手数料支払いのみに使え、GNOからOWLに一方通行で変換できる(GNOをロックするとOWLがもらえる)
- イーサリアムブロックチェーン上にコア、サービス、アプリケーションの3つの層を持つ。
- コア・・・Oracle(支払いの元になる事実認定)、トークン作成、マーケットメカニズム(?)
- サービス・・・手数料とか(?)
- アプリケーション・・・フロントエンド。
事実認定は中央集権で行う。(レポーターの多数決ではなくて)
-
内部プロジェクト
- Gnosis X (予測市場向けのGnosisを使ったプロジェクトのコンテスト。賞金100,000ドル)
- Gnosis Olympia (予測市場のプラットフォーム。アルファ版。OLYという独自トークンを使う。予測が当たるとGNOトークンがもらえる。テスト環境もある。)
- Gnosis Safe (資産管理のアプリ。Android/iOSアプリとブラウザのエクステンション。)
- Gnosis Multisig Wallet (オンラインウォーレット。改良されてGnosys Olympiaになった)
- Dutch Exchange (非中央集権の、トークン取引所。)
- Gnosis Trading Interface (予測市場で、「選挙で誰が勝つか」のような試合(card)を登録し、ユーザが予想して賭けができる。)
- Gnosis Management Interface (ブラウザベースの管理ツール?。プレビュー版が2018-09-05に公開された)
動きが活発だが、公式が主催するSlackに入るには、GNOを0.01以上所有する必要がある。redditの方は制限なさそう。
Dharma (ダーマ)
- 公式ページ
- p2pで融資(ローン)をやり取りするための
プラットフォームプロトコル。サンプル実装あり。 - 債務証書を発行、引受、および暗号トークンとして管理できる。
- リンク
- 0xプロトコルを参考にしたとのこと。Whitepeparを参照。
- 未来予測的な機能は無さそう。
Rootstock(RSK)
- Bitcoin上でSolidityが使えるプロジェクト。公式HP
- Solidityを動かすプラットフォームなので、その上のレイヤーは自分で作る必要がある
- Bitcoinは日本でも入手・換金しやすいので、実サービスを運営するにはアドバンテージがあると思う。
Byteball
- 公式HP。条件付き取引が可能。トークンは「GBYTE」。日本で買える取引所は無い。
その他、進捗不明なプロジェクト
Stox
- 公式HP。トークンはSTX。
- GitHubもあるが、ほとんど動きがない。。。
- invest.comという企業が作成した。この企業はオンラインの金融取引を扱っている世界的企業であり、そのノウハウ、既存の顧客基盤を生かしてより経済を流動的にするらしい。
- STXは海外の取引所で買える。
検討から除外したもの
0xプロトコル
- DEX(分散取引所)を実現するためのプロトコル。p2pで仮想通貨やトークンをやりとりできる。公式ページ。
- 売り手と買い手がそれぞれ署名して安全に取引できる。
- サービス提供側は、フロントエンドの提供と取引の仲介をするだけ。実際の取引はp2p。
- その場で取引が終了してしまうため、保険のように「条件がそろったら取引A、そろわなかったら取引B」のような選択的取引はできない。
- リンク
ETHLend
- 公式ページ
- プラットフォームであり、ソースを公開しているわけではない。
用語の注意
- 結果の候補をブロックチェーン上に乗せる事を「Oracle(ご神託)」と呼ぶ。データベースのOracleとは別なので注意。
- Discrete Log Contracts
- Bitcoinを使って分散予測市場を作るためのコントラクト(Bitcoinスクリプトとその利用方法)を考えだした論文。
- 元の論文
- Discreet Log Contractsについて (概要)